無垢フローリング・床材の種類や特徴|自然素材の基礎知識
自然素材として人気の建材「無垢のフローリング」にはたくさんの種類があります。ここではそれぞれの特徴や張り方の種類など、自然素材を使った住まいづくりやDIYで無垢フローリング張りをしようとお考えの方にも役立つ様々な基礎知識について解説していきますので参考にしてください。
無垢フローリングとは?普通(複層)のフローリングとどう違うのか?
無垢フローリング(左)と通常のフローリング(右)の違い
無垢フローリングは原木からそのままフローリング用に切り出したもので木の持つ表情や特徴を活かすことができます。複数枚で構成される複層フローリングに対して無垢フローリングは単層フローリングとも呼ばれることもあります。
また無垢フローリングはきちんと手入れをすることで質感や色味などの風合いが趣豊かに変化し経年変化が楽しめるとして人気がある。その一方、普通(複層)のフローリングは経年とともに劣化していくだけで、出来上がった時が一番良い状態で提供されると考えられている。
無垢フローリングの特徴、人気の理由は風合いと心地の良さ
木の表面は熱伝導性が低く体感温度としては暖かく感じるので無垢材のフローリングはとても肌触りが優しく格別です。裸足で歩くとベタベタせずとても気持ちがよいものです。また経年変化で味も出てくるので愛着も湧き素材の持つ素朴な風合いと温かみで癒される、そんな心身ともに優しい素材だといえます。
無垢フローリングのメリットとデメリット
もともと木には湿気や水分を吸収や排出する「調湿機能」というものがあり無垢フローリングにはこの効果がより高いとして知られています。このように木自体の持つ力を活用しておしゃれで心地の良い住まいづくりをすることがきるのがメリットです。しかしその反面、水分を吸収と排出の際に伸びたり縮んだりと天然木の特性がそのまま現れます。乾燥する季節にフローリングの継ぎ目部分にすき間が生じることもあるのが無垢フローリングのデメリットです。
また無垢材はどうしても節や色味などの素材のばらつきや反りなどがあり、日頃精度の高い工業製品に慣れてしまっている私たちにとって気になってしまうかもしれません。自然素材にはこのような素材のばらつきは付きものですので「自然素材ならではの味わい」として許容する気持ちが必要だということをあらかじめ頭に入れておいてください。
このように自然素材ゆえの欠点や性質を理解しておくことが大切ですがデメリットを味わいとして付き合って楽しむからこそ自然素材に魅力があるのかもしれませんね。
無垢フローリングの塗装なら天然由来の塗料がおすすめ
塗料には大きく分けて2種類あります。1つはウレタン塗装やUV塗装などの木の上に塗膜を張って木の呼吸を妨げてしまうもの。もう1つはオイル塗装やワックス塗装などの塗膜を作らない、または薄い塗膜のため木の呼吸を妨げないものとあります。無垢フローリングに塗装するなら後者の木の呼吸を妨げないオイル塗装やワックス塗装をおすすめします。
その中でも特におすすめしたいのは天然由来のオイル塗料やワックス塗料です。せっかく自然素材である無垢フローリングを床に貼るのですから無垢材の良さを活かし人体にも優しい天然由来の塗料を使用したいものです。また木の呼吸を妨げてしまう塗料では無垢材の持つ優れた調湿機能や肌触りが失われます。
無垢フローリングの種類や特徴の一覧
パイン(赤松)無垢フローリング
参考:パイン(赤松)無垢フローリング – 施工事例
カントリーテイストのお部屋には欠かせないパイン材。独特の節や経年変化を経て深みを増すパインは普遍の人気です。また、他の無垢フローリングと比べると少しお値段がお手ごろなも魅力のひとつ。パインは木そのものが柔らかな素材ですので歩行感がやさしく小さなお子さんや年配の方のお部屋にも最適。
スギ(杉)無垢フローリング
参考:スギ(杉)無垢フローリング – 施工事例
和風の空間に杉はよく合うとされていて日本の家屋でよく使われていますが、幅広いデザインが可能とあって洋室にも積極的に使用されています。軟らかく肌触りが非常に良く、ほのかに独特の香りがする。
ヒノキ(桧)無垢フローリング
参考:ヒノキ(桧)無垢フローリング – 施工事例
国産のヒノキは日本を代表する高級材として多くの方に知られています。独特の芳香があるのも人気のひとつ。強度や耐久性に優れていて現在の木造建築には欠かせない材料です。節の有無で価格が大きく変わるのも特徴的。
チェスナット(クリ:栗)無垢フローリング
参考:チェスナット(クリ:栗)無垢フローリング – 施工事例
はっきりとした木目で力強い印象が特徴的。強固な木質で硬い木の象徴。耐湿性に優れることから水周りにも適している。古くより家屋の土台や枕木に使用されていた。
バーチ(カバ:樺)無垢フローリング
参考:バーチ(カバ:樺)無垢フローリング – 施工事例
白樺や樺桜と同属の木。緻密な木肌でパイン材などよりは硬質な樹種。木が硬いために初めて無垢フローリングを貼る方はやや手強いかもしれません。やさしい表情を呈するので「ナチュラルテイストのお部屋に仕上げたいけれどパインの節の感じは苦手」という方におすすめです。
チーク無垢フローリング
参考:チーク無垢フローリング – 施工事例
硬く強靭で伸縮・そりが少なく耐久性が高く家具などに使用する高級材として知られている。また水や腐食にも強く船舶の甲板用材としてはチーク材が良いと言われていて豪華客船やクルーザーに現在でも甲板の表面材等として好んで使用される。床暖房にも対応可能な無垢のフローリング材のひとつ。まっすぐに通った木目が特徴で褐色のやや色味の濃い樹種である。落ち着いた雰囲気やアジアンテイストの空間に最適。
フローリングの定番、オークとナラ無垢フローリングの違い
フローリングの定番とされているオークは、ブナ科コナラ属を総称してオークと呼ぶ。一般的にオークを日本語でナラと呼ぶことが多いが、なかでも日本では落葉樹をナラ(楢)常緑樹をカシ(樫)と呼び分ける。また産地によって色や表情など風合いが変わるのでそれぞれ呼び方が変わり見た目だけでは分類がとても難しい。
オーク無垢フローリング
参考:オーク無垢フローリング – 施工事例
上の写真はオーク、下の写真は落葉樹のナラ。環境の厳しさによって木目がかわるので一概に木目だけで判断しにくいです。
ナラ(楢)無垢フローリング
ヨーロッパのオークは落葉樹のナラがのほとんどです。そして日本のミズナラはヨーロッパナラに匹敵する高級オーク材として知られています。
ホワイトオーク無垢フローリング
参考:ホワイトオーク無垢フローリング – 施工事例
同じオークでもレッドオークやホワイトオーク(上の写真)など色味の違いでも呼び名が変わる。
メープル(カエデ:楓)無垢フローリング
参考:メープル無垢フローリング – 施工事例
色は白色から薄い赤茶色。硬質ながら弾力性に優れ衝撃に対する抵抗力が大きい。木肌は細かく繊細な木目です。少し木に詳しい方なら「バーズ・アイ・メープル」という言葉を耳にされたことがあるかもしれません。言葉の通り鳥の目のような玉粒上の杢が現れるものをこのように呼び高級家具材として使用されています。
バンブー(竹)フローリング
参考:バンブー無垢フローリング – 施工事例
こちらは集成材なので竹のフローリングは無垢材ではないですが、人気の建材として紹介します。竹は和風のイメージが強い材料ですがテクスチャ(質感)が出すぎることのなくモダンでシンプルな現代的の和風空間やアジアンテイストの空間を演出するのに効果的です。また竹は性能的にもとても優れた材料で、ケヤキと同等の強度があり表面も硬く重歩行にもむいています。傷がつきにくくて収縮膨張が少なく安定している点も魅力のひとつです。熱伝導が早く保温力や耐熱性にも優れていることから床暖房を使用する際にも向いている。
無垢フローリングの並べ方・張り方の種類一覧
無垢フローリングは無垢材本来の色や木目以外にも張り方でも印象ががらりと変わります。次に張り方の種類をいくつかあげてみますのでお気に入りを探してみてください。
定尺張り(尺ずらし張り・階段張り)
定尺張り(尺ずらし張り・階段張り) – フローリングの張り方の種類
定尺のフローリングの材料を用いて決まった尺、または長さの一定分をずらして繰り返し張る。決まった尺の分ずらして張るので「尺ずらし張り」と呼ばれたり、階段上にフローリングのつなぎ目が並ぶので「階段張り」と呼ばれます。
定尺張り(りゃんこ張り・レンガ張り)
定尺張り(りゃんこ張り・レンガ張り) – フローリングの張り方の種類
定尺のフローリングの材料を用いて半分ずつずらして繰り返し張ることを「りゃんこ(両個)張り」と呼ぶ。フローリングのつなぎ目が長さの半分づつ互い違いになっている様から「レンガ張り」とも呼ばれる。
乱尺張り
乱尺張り – フローリングの張り方の種類
長さが一定ではない乱尺(ランダムな長さ)のフローリングの材料を用いた場合、必然的に乱尺張りになる。規則的な定尺張りだと人工的で合板の様な印象になってしまうため無垢フローリングを使用する場合は乱尺張りの方が無垢らしさが出でて相性が良くとても人気です。乱尺張りではつなぎ目が不揃いのためみっともないと気にされる方もいますが、結局は好みの問題なので気になる方は規則的な定尺張りがおすすめです。
斜め張り
斜め張り – フローリングの張り方の種類
その名の通り壁に対して斜めに張っていく方法で、フローリング自体の主張が強くなりデザイン性が高い張り方。また2つの空間の区切り感を出すためにも有効で空間のデザイン次第でとてもお洒落に仕上がります。
寄木張り(ヘリンボーン張り)
寄木張り(ヘリンボーン張り) – フローリングの張り方の種類
ヘリンボーン(herringbone)は「ニシン(herring)の骨(bone)」の意味を持ち、見た目がニシンの骨に似ていることから名付けられたと言われている寄木張りの1つ。ヴェルサイユ宮殿にも採用されているフローリングの張り方のデザインのひとつでクラシカルな印象をあたえるが、1周回ってモダンでおしゃれな印象も与える。日本でも明治・大正時代に建てられた洋館にも多く採用されいる。
寄木張り(市松張り)
寄木張り(市松張り) – フローリングの張り方の種類
市松張りとは、市松模様のようにフローリング材の向きを交互に変える張り方をする寄木張りの1つ。明治・大正時代に建てられた洋館にも多く採用されたことから、こちらもクラシカルな印象をあたえるが、1周回ってモダンでおしゃれな印象も与える。
すだれ張り
すだれ張り – フローリングの張り方の種類
すだれ張りとは、同じ長さのフローリング材の繋ぎ目をすだれの様にそろえるシンプルな張り方。すだれ張りは天井によく張られる方法でこの手法を床にも応用した張り方です。
DIYで無垢フローリングを張っている参考動画
参考:お客さんも工事に参加、やって良かったと評判の「ハーフDIY」とは?
自然素材を扱う住まいづくりは、腕の確かな建築家かどうかを見極めることが重要
自然素材を活かす住まいづくりは一般的な住まいづくり以上に素材の特性を理解していなければなりません。豊富な知識や経験、設計と施工の高い技術が求められます。大切なお金で住まいづくりをするのですから技術を持った経験豊かな信頼できる建築家にめぐり会うことがポイントとなってきます。依頼先を決める上でデザイン性や価格も大切ですが「自然素材を扱った経験や知識が豊富かどうか」「しっかりとした施工をする技術力を見極めること」が大切です。
参考:自然素材住宅の完成事例集
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