京町家リフォーム・京町家店舗リフォーム・京町家改装・自然素材リフォーム・デザインリフォームの説明 京町家/ 大阪 奈良 滋賀 神戸 関西
以来、京の町並みを形成してきた伝統的な家屋は今、確実に失われようとしているのです。 そんな中、京町家を改修してほしいという依頼が飛び込んできました。場所は伏見で商店街の程近く、築80年を越える京町家です。クライアントの要望は店舗として改装し、うどん屋を始めたいとのこと。実際に見てみると、空き家の期間が長かったためか、内部は廃墟同然、本当にひどい状態でした。もともと連棟として建っていた形跡が残っていましたが、両サイドは既にビルに変わっていました。確実に京町家は京の町から姿を消しつつあるのです。 連棟とすることで強度を確保していた京町家は、必要な補強もされぬまま隣のビルに肩を寄せ見事なまでに傾いていました。こんな廃墟を店舗に改装できるだろうか、既存の柱や梁はどこまで使えるか、白蟻の被害はどこまで広がっているのか、限られたコストで果たしてどこまでできるのか・・・?様々な不安が脳裏をかすめました。
浅右衛門ののれん
こうして始まった今回の京町家再生プロジェクト、工事は想像以上に困難を極めました。無事に完成することができたのは私たち設計者とクライアントが一体となって工事に携わる事ができたからだと思います。正直、クライアントの熱心さには脱帽しました。ススだらけになりながら解体工事に参加、果ては店内の塗装からお店の看板つくりまで本当に一生懸命施工に参加されました。クライアントは自分たちが手がけたこの店に屋号である『浅右衛門(あさえもん)』と名づけました。廃墟同然だった京町家が見事に息を吹き返した瞬間でした。
それでは、私たちの挑戦の軌跡をどうぞご覧下さい・・・
京町家のよさを残すため、出格子や一文字瓦は残すことに。入り口には木製格子の引き戸を新たに設け、店内の気配を緩やかに伝える趣深いファサードへと変身しました。
落ち着いた雰囲気の店内。奥へ進むと厨房と対面に配されたカウンターがあります。お客様とのコミュニケーションと大切にしたい、というクライアントの考えがそのまま形になりました。
食器もそろい、準備OK!どんな料理が生み出されるのか、今から楽しみです。
設備機器搬入の際にはクライアントが積極的に作業に参加。気合充分です!!!
以前は屋外にあったトイレを階段下に配置しました。店内の雰囲気に合わせつつ、清潔感のあるタイルで仕上げました。
壁の厚みを利用してつくった下駄箱。2階へあがる際はここで靴を脱ぎます。以前の階段は一間にも満たない急勾配。手摺りも無く非常に危険でした。新しい階段は勾配も緩やかに、大工さんお手製の手摺りもついて、昇降しやすい安全な階段に。作業動線が短くなるよう上り口を厨房近くに設け、配膳もスムーズに行えるよう工夫しました。
既存の天井を取り払った開放感のある2階客席。1階とは一味違う雰囲気です。 床材に使ったのは、パインフローリング。店内の雰囲気にあわせ、オイルステインで仕上げました。床をはじめ、階段の手すりや付柱など店内の木部は全てクライアントが塗装。既存の梁が新しい空間に違和感無く馴染み、新しいけれどどこか懐かしい…そんな味のある空間に仕上がっています。
お店の顔となる看板。通常は業者に依頼するところですが、今回はクライアントが自ら作りました。とはいってもクライアントも看板作りの経験があるわけではありません。材料選びから仕上げまで、横田指導の下丁寧に行われました。
始めての作業でも、時間をかけて丁寧に施工すれば、安全に、安く作ることができます。
さすがにプロのような仕上がりとまでは行きませんが、こんなに大きな看板だって作ることができるのです!世界に一つだけの、オリジナルの看板。愛着もひとしおです。